ハチプロデザイン

ステッカー屋 ハチプロデザインのブログです。hachiprodesign@yahoo.co.jp

これから自転車を買う人に読んでいただきたいこと

参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。
まぁ、ごく基本的なことと主観的なことをいくつか。
あくまで筆者の「一個人としての意見」なので、噛みついて来られても放置する可能性が高いです。(^^;

大前提として、MTBには本物とパチ物(ルック車)の2種類があります。
「パチ物は来るな!」とは言いません。パチ物MTBでも参加は可能です。ただ、後述の点でオススメできない、というだけです。

ホームセンターなどで売られている物は大体パチ物と思って差し支えないです。
大雑把な指標として「定価6万円以上が本物」と言われることがありますが、最近では実売2万以下がせいぜいの品物の定価を10万以上に設定して、それをあたかも大きく割り引いたように見せかけて4万とかで売る方法もありますので、騙されない心がけが必要です。

メーカー名自体に信用は置けても、ややこしいことにパチ物メーカーに「名前を貸しているだけ」のものもありますので、注意が必要です。
シボレー、プジョー(※)、ハマー、コールマン、ジープ、スポルディングなどは、有名なパチ物MTBです。多分他にもある筈。

プジョーは一流の自転車メーカーですが、プジョージャパン製造のモデルは低品質であり、現在国内におけるプジョーMTBとは、多くはこのパチ物を指します。大変残念なことであり、名門プジョーの名を汚す恥ずかしいことです。

ダートを走ったり遠出をしないママチャリぐらいの扱いならば、パチ物でも一応「自転車としての機能」はします。
調子が良いマシンなら、ママチャリより快適に走れるでしょう。
筆者は、そういう使い方なら、素直にママチャリに乗りますが…

また「信頼の日本製」を謳う商品もありますが、日本国内メーカーでマトモにダートを走れるMTBを作っているのはブリヂストンのスポーツ部門であるアンカー(Anchor)と、その他小規模なカスタムメーカーが数件ぐらいです。
アンカーのMTBは品質的に全然問題ありません。フレームのデザインなど、どことなく日本的な上品さを漂わせていて、素晴らしいですね。
その他のカスタムメーカー製品は大体どれもクロウト向けで高価です。

パチ物と本物の最も簡単な見分け方は、
定価数十万円のスポーツ自転車をラインナップしているメーカーの、定価6万円以上ぐらいのエントリーモデルより上のクラス。「悪路走行禁止」の注意書きのないモデル。
…というものです。
大体はこれで間違いありません。

最近はスポーツデポなどの量販店で4万円ぐらいの一流メーカー製MTBもありますが、筆者は実際にそれに乗ったことがないのでコメントできません。フレームなどは共通の場合が多いようですのでそれなりにしっかりしたマシンかと思いますが、ダートでの使用に耐えるかは分かりません。

また、折りたたみタイプもほとんどがMTBとして用を為さない性能のもののようです。折りたたみは一見便利そうですが、諦めましょう。
どうしても小さく畳めないと困る場合は、安心してください。
本物のMTBなら、前後ホイールが簡単に取り外せます。取り外して輪行バッグに入れてしまえば、そのままバッグを肩から下げて電車にも乗れます。
だから折りたたみ性能は「不要」なのです。

一方、「どうせダートで傷つくのだし、使い潰すつもりでパチ物でダート遊びしてもいいだろう」と思われる方もいて、それはそれでまぁ、間違いではないのですが…
そもそも、わざわざ自転車でダートに乗り入れるのは、「楽しみたいから」ですよね。
パチ物の品質では、楽しめません。さらに言えば、危険です。

●まず、パチ物は「まっすぐ走りません」
ライダーの腕の問題というより、ぺダルを漕ぐ度に車体各部が歪み、蛇行します。結果、上り坂だとものすごくしんどい思いをしますし、下り坂では危険です。これはパーツの精度の低さと部材の安さから来ることで、どうしようもありません。

●また、パチ物は「停まりません」マジで。
乗り比べてみると分かるのですが、本物のMTBは、驚くほど制動力が強くコントローラブルで、きちんと停まります。
パチ物だと、力一杯握ってようやくユルユル…と停まります。

●パチ物の「使えるギアは半分以下」です。
部品精度が極めて悪い為、新車時はそれなりに全てのギアが使えていたとしても、すぐに「入らないギア」が出てきます。
また、入ったとしても常時「ガリガリ」と異音を発したりします。
ペダリングロスも相当なものでしょう。

●パチ物は「よく壊れます」
そもそも安価な材料でいいかげんに作られているので、いつの間にか色んなパーツが折れたり脱落したりしています。樹脂パーツは湿度と寒暖の差ですぐに硬化してひび割れ、金属部は急速に錆びます。また、強度が必要で金属であるべきパーツがプラ製だったりすると答えは簡単、すぐに割れたりします。国内メーカーの安価な製品もそういうコストダウンはよく見られますが、悪質なルック車だと売りっぱなしでスペアパーツを供給しないので、必要な部品が破損すると、代替品が見つからない限り、後は破損したまま…ということになります。

●パチ物のサスペンションは「動かない」か「乗っただけでフルボトム」
体重100キロぐらいの巨漢がジャンプしてようやく用を為す硬い動かないサスペンションか、あるいは柔らかいと、ちょっと大柄な人が乗ったらすぐに伸びきって(縮みきって)、結局サスとしての用を為しません。
ひどいものだと、ボトムした際にペダルが地面に当たったりします。

サスペンションは、あまり目立たない部品ですが、非常に重要かつ進歩の激しい部分であり、ただのバネでは用を為しません。
本物のMTBのサスペンションにもバネ式のものがありますが、きちんと調整されていますので、サスペンションとしては安価な割に効果は非常に高いのです。
最新式のエアサスなどは、感動モノの性能ですよ。

●パチ物を片手で持ち上げてみましょう。アホほど重たいから。
本物MTBのエントリーモデルの重量が14キロぐらい。10万円前後のグレードで13キロ、15万円ぐらいで12キロ、20万以上で10キロ…と、値段が高くなっていくと車体も軽くなっていきます。そう。ライダーの身体に直結した道具である自転車にとって「軽さは武器」なのです。
実際、乗り慣れてくると1キロで大違いだと感じますから。
例外的に、ダウンヒル用のフルサス車などは20キロ近いものもありますが、あれは軽さより剛性が重要なので。
で、パチ物は18キロぐらいあります。片手で持ち上げてみてください。肘を傷めそうです。
安っぽい部材といい加減な工作精度では、各部パーツを厚ぼったく作らないと人が乗れるモノにすらならないってことです。
パチ物のくせに軽い自転車は……最も恐い部類かもしれませんが。(笑)

以上、ざっとパチ物の問題点を列挙しましたが、だからと言ってパチ物が何の役に立たない物かというと別段そうではなく、ちょっとカッコイイママチャリ…ぐらいのものと思えば、値段的にもそんなもんですし、さしてハラも立ちません。


そういうワケで。MTB購入前に、絶対すべきこと。
●購入前に、きちんと調べましょう。
●できれば誰か詳しい人に相談しましょう。
●命を載せて走るモノに、衝動買いは禁物です。


筆者も以前、家族の者がそんなパチ物をつかまされて、非常に悔しい思いをしました。
これだけ情報に事欠かない世の中で、何故そんな物を掴まされるのかと思いますが、実際は致し方ないところもあるのです。
大体、本物のMTBを売っているところよりもずっと多くの場所でパチ物にお目にかかります。それではパチものが「普通」に思えてしまって当然です。
MTBは最も安いので6万円ぐらい」と言うと、ほとんどの人は「えっー!」って驚かれると思います。高価いんですよね、普通の感覚だと。当たり前ですが。
筆者は、命をのせて走るモノがいちきゅっぱなどで買える現状がおかしいのだと思います。

また、あろうことか、本物のMTBを売っているショップでも、儲けの為にはパチ物を平気で掴ませようとします。
筆者の家族がヤラレたのも、そういうショップでした。店構えがきちんとしてたので、油断した例です。
店頭の表側には、ジャイアントやGTやルイガノなどが並べられていますが、店員と話をすると店の奥からパチ物を出してくる…って寸法です。
そういったクソショップは、特に女性などは知識の無い絶好のカモと認識していて、ママチャリ程度かそれ以下のバイクを法外な値で売りつけようとします。
そのショップがどんなにきちんとしたショップに見えたとしても、店員が良い人に見えたとしても、そのようなモノを薦められたならば、即刻そのショップを出て、二度と行かないようにしましょう。

その一方で、本物のMTBのみを取り扱っている高級自転車屋は、すごくマニアックで入りづらい雰囲気を醸し出していることが多いのも事実です。
実際はそんなことないよとは、言わせませんよ!(笑)
店頭に陳列されている自転車は安いモノで10万、高いものだと平気で100万とか…。
店員にちょっと声をかければエントリーモデルとして薦められるのは20万のフルサス……うわー、入りづらい!
世間の人間全員が自分と同類と思うなよ!と筆者は言いたい。
そういった高慢な姿勢が一般客やライトユーザーを遠ざけ、ひいては危険なパチ物ルック車の氾濫を招いているのだと思います。
爽やかに「エントリーモデルなら6万円ぐらいがオススメです。コストパフォーマンスの高いのが10~15万円クラスです。20万円以上だと、レースで勝とうなどと思わない限りウハウハな性能です♪まずは用途を教えてくださいな」って普通に言えって感じです。

とはいえ、100万円でも6万円でもMTBMTB
ハッキリと大きな声で、店員さんに「不整地走行可能な、ルック車じゃない、安いMTBをください!」と言いましょう。
「コレに飽き足らなくなったら後でグレードアップするかもしれないのでその時はよろしく!」って言っておけば、満点です。(笑)

とはいえ、多少お金に余裕があって、本気でダート遊びしたいということなら、10~15万円ぐらいのモデルがオススメですけどね。
最初からそこそこ良いパーツが組んであるので、後でパーツをグレードアップしたくなって余計な金と手間暇をかけないで済みますから。

「3万円で買ったパチ物ルック車がハズレで、ツーリング途中で自走不能になるリスクおよび低性能に嫌気が差していずれ乗らなくなるリスク」と、
「つい出来心で20万以上のハイスペックMTBを買って後に退けなくなってしまうリスク」
これらのうちどのリスクが自分に相応しいか、選んでいただければよいかと思います。
まぁ、趣味の物って「コレは無駄だなー」と感じるぐらいが丁度良かったりするんですよね。(笑)

なお、安全の為、ヘルメットは「乗車時は常時」被りましょう。
実際、帽子よりも快適ですよ。